カレーを寝かせると美味しいけど危険です【正しい寝かせ方は?】

「一晩寝かせたカレーは美味しい」
誰しも人生で一度は聞いたことのあるこのフレーズ。

前日の晩御飯で食べたカレーより、今朝食べたカレーの方がなぜ美味しいのか。

カレーを寝かせると美味しくなる理由は、時間が経つにつれて肉や野菜の旨みとルーが互いに染み込むからです。

でもカレーの保存方法を間違うと、食中毒になる危険性があるので要注意です。

本記事の内容

  • カレーを寝かせるのが危険な理由
  • 安全にカレーを寝かせる方法は?
  • カレー以外の料理も常温で放置するのは危険

「カレーを寝かせる」=「常温で放置」
という間違った認識を持っている方が、私の周りにも結構な数います。

この記事を読んで、誤った方法でカレーを寝かせることの危険性を認識していただくとともに、正しい方法でカレーを保存して美味しく味わっていただければと思います。

カレーを寝かせるのが危険な理由

カレーを作り置きして寝かせることについて、消費者庁もその危険性に注意を呼び掛けています。

消費者庁によると、カレーやシチューなどの煮込み料理を作って寝かせておくと、食中毒の原因となるウェルシュ菌が増えるというのです。

ウェルシュ菌て何?

ウェルシュ菌は自然界に幅広く生息している細菌です。

土や水の中だけでなく、なんと人や動物の腸内などにもウェルシュ菌がいます。

特に牛、鶏や魚が保菌していることが多いです。

さらに土のなかにも存在しているので、ジャガイモ、ニンジンや玉ねぎなどの根菜に付着していることも。

牛、鶏、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎて…。

全部カレーの代表的な具材やないかっ。

つまりカレーはウェルシュ菌を一番含みやすいメニューだったのですね。

実際、厚生労働省の発表によると、毎年1000人以上がウエルシュ菌を原因とした食中毒になっています。

認知数でこの数だから、実数はもっと多いでしょう。

ウェルシュ菌を死滅させるのは困難

作り置きカレーの天敵であるウェルシュ菌。

「菌てたいてい熱に弱いから、加熱すれば安全じゃね?」

残念ながらこのウェルシュ菌、厄介なことに熱に強いんです。

100℃で加熱しても完全には死滅しません。

ウェルシュ菌は爆速で増殖する

熱に強いウェルシュ菌ですが、50℃より高温で加熱調理中は菌が増殖することはありません。

しかし、調理後に常温で放置し、50℃以下になると増殖が始まり、45℃で最も増殖スピードが速くなります。

20℃から50℃の温度では10分間で2倍と爆速で増えていくので、2時間も常温で置いておけば食中毒レベルの菌数になります。

ウェルシュ菌は前述のとおり熱に強いので、一旦増殖してしまうと後で再加熱しても菌が減ることはありません。

安全にカレーを寝かせる方法は?

カレーを食中毒の危険から守りつつ、寝かせて美味しくするには調理中と調理直後の行動が肝心です。

ウェルシュ菌は酸素が嫌い

熱に強いウェルシュ菌ですが、酸素には弱いです。

逆に酸素が無い状態が大好きなので、寸胴鍋のような大きな鍋で作ると、鍋底の酸素濃度が低くなるのでウェルシュ菌が増殖しやすくなります。

カレー調理中は鍋をよくかき混ぜ、鍋底にも空気を送りながら加熱しましょう。

カレーを調理後は素早く冷却

ウェルシュ菌は20℃から50℃の間の温度で速く増殖しますので、カレー調理後は速攻で冷やしましょう。

大きく底の深い容器だと、カレーの内部まで冷えるのに時間がかかります。

カレーを小分けにするか底の浅い容器に入れて、10℃以下の冷蔵庫で保存しましょう。

「カレーを冷蔵庫に入れてると、寝かせる美味しさが落ちない?」

ご心配なく。
温度の低い冷蔵庫で保存しても、温度が下がる過程でよく味が染み込むので美味しい作り置きカレーが誕生します。

ただし、10℃以下でも菌は少しずつ増殖するので早めに食べ切るようにしましょう。

カレー以外の料理も常温で放置するのは危険

これまでカレーを寝かせることの危険性についてお話してきましたが、カレー以外にもウェルシュ菌の危険に晒されやすい料理はたくさんあります。

シチュー、ハヤシソース、肉料理、魚介料理、豆料理など具体例をあげればキリがありませんが、要は「肉類、魚介類、野菜を使用した煮込み料理全般」が危ないと考えておいてください。

煮込み料理は調理後、ついつい常温で放置しがちなので、その間にウェルシュ菌が増殖しやすいので。

調理後にすぐ食べない場合は、カレー同様に冷蔵庫でしっかり冷やして保存しましょう。